けがきを始める前の基礎知識

けがきとは、工作物を加工する際、機械工作に必要な線を被工作物に描く作業のことです。漢字で「罫書き」ですが、ひらがなで書くことが多いようです。細かい作業なので大変ですが、けがきが下手だと良い部品は絶対に作れません。
また、いかに材料をけちって使えるかが腕の見せ所です。

けがき作業で用いる工具

けがき針
けがき作業での「ペン」です。インクではなく傷を付けることによって材料に印を付けます。機械系学科の人なら2年の鍛造実習で製作するでしょう。これがなければ始まらない、けがきの主力武器です。
鋼尺
鋼製の定規です。薄くて堅く、変形に強く、精度が良いので、作業全般で用いられます。目盛りは0.5mm刻みのものがほとんどです。長さ300mm、600mm、1000mmのものがロボ研で使用されています。
差し金
直角に折れ曲がった形の鋼尺です。ロボ研ではあまり使いません。
スコヤ
直角定規。直方体のブロック(台)と細長い板(定規部)が直角に組み合わさった工具で、台を材料の一辺に当てて辺に垂直な線を引くことができます。ものによっては台が無く1枚板でできた、差し金のようなスコヤもあります。
精度を要する工具で、衝撃が加わると簡単に角度が狂ってしまうので、落としたり、ハンマー代わりにしたり、上に重いものを載せたりといったことは厳禁です。
分度器付きスコヤ
(正式名称不明)
分度器と、その中心を支点に回転する定規部とが組み合わさったスコヤです。通常のスコヤが辺に直角の線しか引けないのに対し、こちらは角度を自由に変えることができます。また、薄いので厚さ1mmの板などをけがく時に便利です。現在、ロボ研に1つしかないので無くさないようにしましょう。
ポンチ
穴空け位置に印を付け、窪ませてドリル先端を導くのに使用します。ハンマーで打つハンマーポンチと押しつけるだけでバネの力によって先端を打ち込む機械式ポンチがあります。ロボ研にあるのはほとんどハンマーポンチです。また機械式は打ち込む時一瞬先端が引っ込むためずれやすい、強さの加減が難しい等の欠点があります。
文字を刻印するポンチもありますが、ロボ研ではまず使いません。
ハンマー
ハンマーポンチをたたくのに使用します。
パス
コンパスのような形状の工具で、円をけがく時に使用します。
っていうか、普通にコンパスとも呼ぶようです。
トースカン


先端のクリップ状の部分ににけがき針をくわえ、平面と平行な線を引く道具。下部は強力な磁石になっていて、定盤に固定できます。ちなみに語源は不明だそうです。
パイプなどのけがきに使用します。
最近は上の部分が取れてしまったものが多く、残った磁石部分だけがビス集めに使われていたりします。
下のもトースカンでしょうか・・・自信無いです。
ハイトゲージ
トースカンと似ていますが、こちらは定規がついていて細かく高さ調節ができます。
Vブロック
V字形の切込みが入ったブロックです。パイプや丸棒をけがく時台にして、転がらないようにします。
青竹
けがきの線が見えやすいよう材料に塗る、青色のインクです。ロボ研ではほとんど使いません。太い油性マジックで代用することもあります。服に付いたらまず落ちませんのでご注意を。
定盤
金属製の台です。表面は精度の高い平面になっています。非常に高価なものなので、傷を付けたり落書きをしたり、乱暴な扱いをしてはいけません。